モリオの不定期なblog

映画・特撮・アニメの感想や思った事を書きます。宜しくお願いします。

今こそ観よう、手を洗うヒーローを!『ウルトラマンゼアス2』の変身がマイベスト変身という話。

 人との接近を極力避け、これまで気にせずに触ってきたドアノブに触ることをためらってしまう毎日。外出中は何かするたびに手を洗うため、乾燥の季節はとっくに過ぎたはずなのに保湿クリームが手放せません。花粉症に悩ませられる季節も過ぎたのに、今だにマスクを付けて外出をしています。

 

外から家に帰ってくるたびに、持ち歩いていたバッグやスマホ、財布、身につけていた服や眼鏡の全てに次亜塩素酸水を吹き付けて丁寧に拭く。それだけでなく、配達で届けられた荷物や外で購入した商品、毎日郵便受けに入れられている新聞にもシュッシュすることが毎日のルーチン・ワークに。洗濯物の横にビショビショの新聞紙が干されている光景が日常の一部になりつつあります。

 

家でゆっくりしていても、仕事先で仕事をしていても、何処にいても、何をしていても、手を見るとネガティブなことを連想させられてしまう。手洗いがネガティブな話題の象徴になりつつある中、ポジティブな事を考えさせてくれるのが、手を洗う姿の印象的なヒーロー『ウルトラマンゼアス』です。

 

初めて実際に会った時に何故か泣いてしまった子供時代の話など、自分にとって話題に事欠かない存在のウルトラマンゼアス。映画二作(しかも一作品、約60分なので二作品と言っても一般的な映画の一作品分)と映像作品に限ってみると他のウルトラマンシリーズに比べて触れる時間はとても短いです。にも関わらず、何故か自分の中で圧倒的な存在感を放っているウルトラマンゼアス。今回は何故ウルトラマンゼアスがこれほど印象に残っているのかという話と、第2作目『ウルトラマンゼアス2』の変身シーンがマイベスト変身であるという話をしたいと思います。

 

ウルトラマンゼアス 1&2 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 

 『ウルトラマンゼアス2』の変身をベストたらしめている理由は、人からウルトラマンに変身するまでの一連の流れを一つのシーンで描いていることです。ウルトラマンゼアスである勝人隊員がアイテムを掲げ、ウルトラマンが登場し空に飛び立っていくまでを一つのシーンで描くことで、「勝人隊員はウルトラマンゼアス。」ということをストレートかつこれ以上にない形で見せてくれます。

 

変身アイテム(ピカリブラッシャー)を掲げる変身のポーズとウルトラマンの拳を突き出して飛んでくるポーズが重なって見えることも、勝人隊員=ウルトラマンゼアスであることをより印象付けてくれているように思います。

 

変身者である勝人隊員が変身アイテムを掲げ光に包まれる、そしてその光からウルトラマンが拳を突き出して迫ってくる定番のぐんぐんカット。

 

変身してから戦いが終わるまで勝人隊員の姿が映ることもなければ、近年誕生したウルトラマンたちのように勝人隊員の声が聞こえてくることありません。それでも、勝人隊員の映像からシームレスにぐんぐんカットに移ることで、彼がウルトラマンに変身したのだと感じることができます。そこで戦っているのはウルトラマンゼアスであり勝人隊員なのだと。

 

 


『ウルトラマンゼアス 1&2』 Blu-ray 2016.12/22発売!!

 この動画の50秒あたりで流れる変身シーンが本当に最高なんですよ、その前後の変身する勝人隊員がアイテムを掲げるシーンとゼアスが飛び立っていくシーンも含めて。

因みに「ぐんぐんカット」とは、ウルトラマンが拳を前に突き出してカメラに向かって飛んでくるシーンのこと。

 

 

 

 ウルトラマンゼアス=勝人隊員にとても親近感が湧くんですよね。手の汚れを洗ったりする仕草が良い意味でウルトラマンっぽくないし、鏡を見て光線の構えの練習する姿も、今思うとごっこ遊びしている子供のようで印象的です。彼の持つ悩みのレベルが人の持つ悩みのレベルと同じなんです。

 

ウルトラマンゼアス2』の序盤で敗北を決した後に戦うことに対し怖がっている時も、目に怪我を負う姿を見ているから、その怖さが子供ながらにもはっきりと分かったんです。パンチを食らって真っ赤になる目が痛々しいし、そもそも顔に向かって拳が飛んでくる事が怖い。

 

彼のキャラクターだけでなく、物語や描写、その一つ一つが『共感』しやすいもので構成されています。だからこそ、彼の一挙手一投足に共感し親近感が湧くんです。

 

勝人隊員=ウルトラマンゼアスの成長が物語の幹となっている本作において、これほどまでに直接的に見せてくれる変身シーンはその後の戦いも含めて非常にグッとくるのです。

 

勝人隊員が克服した恐怖、身に付けた必殺技、その全てがウルトラマンゼアスの戦いに繋がっていく。勝人隊員としての物語とウルトラマンゼアスとしての戦い、その二つを橋渡ししてくれるからこそ、『ウルトラマンゼアス2』の変身シーンは最高なのです。

 

話は逸れますが、橋渡しを可能にしていると思われる要素の一つが「3DCGによるぐんぐんカット」です。ゼアスが「ぶつかる…!」って思うくらい近づいたかと思えば、カメラの方が避けるかのように後ろに引く。そして目の前を通って空に飛び立っていくゼアスをカメラが見送る。

 

変身シーンのカメラワークに限らず、ウルトラマンシャドーとの空中戦におけるスピーディかつアクロバティックな動きを実現したのは3DCGだからこそ。3DCGウルトラマンの格好良さと魅力、特別感は『ウルトラマンゼアス2』で刷り込まれたといっても過言ではありません。

 

mori2-motoa.hatenablog.com

 

 

 

 これほどウルトラマンに感情移入でき親しみやすい作品になっているのは、映画2本という時間の限られたフォーマットだった事に起因しているのではないかと思います。他のウルトラマン作品の多くは、約1年間テレビ放送されます。約25分×約50本=1250分のテレビ放送に対して、『ウルトラマンゼアス1&2』は約60分の作品2本、たったの約120分です。

 

ウルトラマンゼアス』という作品がテレビ放送されていた他のウルトラマンと異なる点は、ウルトラマン=変身者自身の成長を作品の中心に据えている点なのではないかと思います。勿論、他の作品でもウルトラマンの成長を描いていましたが、それが前面に押し出されていたり作品の幹となっていたわけではありません。

 

それは、約1年間描いていく中で、一人のキャラクターの成長だけでは、尺を持て余してしまう。だから、キャラクターの成長は描きつつも、それはあくまで作品の要素の一つという位置付けだったのではないかと思います。

 

その中で『ウルトラマンゼアス』は60分×2本という時間の限られたフォーマットだったからこそ、ウルトラマンゼアス=勝人隊員自身の成長を前面に押し出し、作品の中心に据える作劇を実現できた。だからこそ、『ウルトラマンゼアス』という作品以上にウルトラマンゼアスというキャラクターに対し親しみやすさと愛着を感じることができたのではないかと思います。

 

短いにも関わらず印象に残っているのではなく、短いからこそ親しみやすさのあるキャラクター付けがされ印象に残っているのだと思います。そしてそれは、ウルトラマンゼロにも言える事なのかなと思いました。

 

ウルトラマンゼロ』という作品が長い時間をかけて一つの大きなテーマを描いてきたのではなく、映画や短編をはじめとする時間の限られたフォーマットの連なりによってウルトラマンゼロというキャラクターが蓄積されてきた。

 

だからこそ、ウルトラマンゼロは作品として以上に、1人のキャラクターとして親しまれてきたのかと。

 

 

 

 話がウルトラマンゼロの方に逸れてしまいましたが、私にとってウルトラマンゼアスは、自分が知っているウルトラマンの中でも親しみやすさと親近感では抜きん出た存在であり、そんな彼が手を洗う姿を今でも思い出します。そして同時に、彼の頑張る姿も思い出すからこそ、今のこの状況でも頑張ろうと思えるのです。

 

だから今こそ観てよう『ウルトラマン1&2』を。

 

ウルトラマンゼアス 1&2 [Blu-ray]

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