モリオの不定期なblog

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無限大の夢のあとの「最後の進化」が新たな無限大の夢を作り出す。<デジモンアドベンチャー ラストエボリューション 絆・感想>

 2020年2月21日金曜日、『劇場版 デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』が公開されました。子供の頃に見ていた『デジモンアドベンチャー』の最新作。自分にとっては、子供の頃の楽しい思い出を作ってくれたコンテンツの一つです。デジモンにはアニメだけでなく漫画や玩具、カード、ゲームと様々な媒体で触れました。特にデジヴァイスを買ってもらい大切に持っていたことを今でも覚えています。

 

 

かつて子供の頃の自分に無限大の夢を見せてくれた『デジモン』が、大人になった自分に何を見せてくれるのか。「最後」と銘打った本作を観に行かない訳には行きません。公開初日に早速行ってきました。

 

本作で描かれたのは「デジモンとの別れ」。大切な思い出は前に進むことを躊躇わせてしまうかもしれない。でも前進することを後押ししてくれるものもまた、昔の大切な思い出なのだと教えてくれる作品でした。このシリーズの一つの終わりとして、これ以上にないものを観ることができたと思います。本作は『デジモンアドベンチャー』という作品の終わりに相応しい作品でした。

 

映画ノベライズ デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆 (ダッシュエックス文庫)

 

 

 

(以下、映画本編のネタバレがあるのでご注意ください。)

 

 

 

 

 

 本作が素晴らしい点は、ラストに訪れる「別れ」に納得と希望をしっかりと持たせてくれたことです。『デジモンアドベンチャー』の放送して以来、当時の視聴者にとって定着した、太一とアグモン/ヤマトとガブモンが並んだ姿。そこからアグモンとガブモンが居なくなってしまうことを如何にして描くのか。

 

太一とヤマトは勿論ですが、20年前に『デジモンアドベンチャー』を見ていたファン、デジモンに出会った時には太一達と同じくらいの年齢だった人たちにとって、その結末を納得させてくれるのか。それが本作を制作する上での最大のハードルであると思っていました。

 

その点に関して、本作を観賞する前は不安を感じていました。しかし本作は、そのハードルを見事に乗り越えていたと思います。

 

 

 

 太一とヤマトは、戦うとアグモンたちとの別れが近づいてしまうことを理由に、戦いを躊躇してしまいます。そんな時に「闘おう。」と言ってくれたのが、アグモンとガブモンです。その言葉のおかけで、2人は闘うこと決意します。

 

太一とヤマトにはそれぞれ、アグモンとガブモンと積み重ねてきた思い出があります。だからこそ、別れを早めてしまうこと、戦うこと躊躇ってしまいます。でも「最後の進化」をする決意ができたのも、アグモンとガブモンが居たからです。

 

そう感じたからこそ、太一とヤマトに「助けよう。みんなを。」と力強い言葉を投げかけてくれるアグモンとガブモンの姿に涙を禁じ得ません。

 

 

 

 このような内容を描く上で、本作に散りばめられている過去作のオマージュの一つ一つが非常に効果的に生きてました。冒頭から繰り広げられる街中でのデジモン同士の戦い、そこで聞こえるボレロ。また、真剣に話している太一達の横で楽しそうに遊んでるデジモンの姿。そこに溢れ出ている「懐かしさ」が、彼らの別れへの名残惜しさを更に引き立たせます。

 

デジモンアドベンチャー』の終わりを描いていく上で、本作にはこれまでに描かれてきたものを大切にしていることが伺えました。だからこそ本作が『デジモンアドベンチャー』の終わりを飾る作品だと、太一とアグモン/ヤマトとガブモンの別れを描く作品としてこれ以上にない作品だと感じることができました。

 

 

 

 ラストシーンの太一の書いた卒論のテーマもまた、アグモンとの別れを先に進む糧にした証であり、これから太一の進む人生の中にアグモンとの絆が存在し、進んだ先にアグモンはきっといるのだろうと思わせてくれます。

 

大切なものとの別れは名残惜しい。しかし大切なものこそが先に進む糧となり、新たな出会い、そしてなにより大切なものとの再会という新たな無限大の夢を作り出すのだろうと。

 

本作が『デジモンアドベンチャー』の最後を飾る作品で本当に良かったと思いました。「また観たい。」と言いたいところですが、本作の内容を考えると「観たくない。」とも思うので悩ましい。でもあと1回くらいなら、いいですよね?