モリオの不定期なblog

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ウルトラ鍔迫り合いにウルトラ熱くなった話 -ウルトラマンZ(ゼット)が好きになった理由-

 「必ず殺す技」と書いて必殺技。こうやって書いてみると物騒ですね。「それくらい強力な技」というニュアンスで使われているかと思いますが、『ウルトラマン』で「怪獣も一つの命であり、街を守る=怪獣を殺す」ことを考えさせられたことを踏まえると、「必」と「技」に挟まれている「殺」という字のこと忘れたくないです。

 

命を奪うほど強力な力を使う必殺技は、リスクも同時に存在する諸刃の剣です。同じくらい強力な技で相殺されるか、それ以上に強力な技に負けてしまうこともあります。しかし背水の陣とも言える状況を作り出すからこそ、それが決まった時のカタルシスはとてつもないものになります。

 

そして、そんな必殺技と必殺技をぶつけ合う、鍔迫り合いのようなシチュエーションには手に汗握ります。力と力のぶつかり合いをストレートに演出してくれるシチュエーションで燃えるし、ここぞという場面で使ってくれれば、最高の演出になります。

 

物語を盛り上げてくれる定番のシチュエーションの一つである光線と光線をぶつけ合い。怪獣や巨人と光線をぶつけ合うあったり、時には衛星から放たれた光線にウルトラマンが光線をぶつけたり、全力で出す光線は格好良いです。

 

そんな光線のぶつけ合いは、昨年放送された『ウルトラマンZ(ゼット)』にもありました。中でも最高に燃えたのが、最終話『遥かに輝く戦士たち』の最後の必殺技。

 

 

 

シンクロする叫び

 最後の光線に心が燃えた最初の理由は、これまで別々に叫んでいた二人が一緒に叫んでいたこと。これまでの必殺技ゼスティウム光線を放つ時は、基本的には、まずゼットが「ゼスティウム光線!」と叫び、その後に続く形でハルキが「チェストー!」と叫んでいました。(第8話など例外はありますが。)第1話が例として真っ先に挙げられます。本来ゼスティウム光線はゼットの技で、「チェストー!」と雄叫びをあげ気合いを入れるのはハルキのルーティンです。

 

戦士の心得

 

ハルキは、飛ぶこともできなければ、当然光線も打てません。物理的に宇宙人と融合しても、即一心同体というわけでもない。身体の大きさや光線や飛行など、怪獣と戦うために必要な要素の、多くはゼットの領分です。かといって、ゼットがハルキを引っ張る訳ではありません。ハルキの身に付けている格闘術や経験が 時として怪獣攻略の糸口になることもあります。第二話の透明になるネロンガが好例です。また、生命を殺すことに対してハルキが悩んだ時では、「一緒に考えていこう。」とゼットが言ったように。どちらが教え導くのではなく、一緒に歩んでいく姿勢。

 

ご唱和ください、我の名を!

 

一人前ではない二人が、それぞれの領分を活かしていく。そんな二人三脚な関係、対等な関係が魅力的なんです。第1話のハルキの雄叫びからは、そんな魅力の一端を感じられるかのようであったからこそ、グッときました。

 

そして最終話の必殺技は、1話と同様に必殺技のぶつけ合いが勝負の最後を飾ります。 

 

ゼットがそうするようにハルキが技名を叫び、ハルキがそうするようにゼットが雄叫びをあげる。互いに「元々パートナーのやっていた」ことをやっていた。ウルトラマンの掛け声というと「シェァッ!」とか「タァッ!」とか、人でいう「うぉおーーーーー!」みたいに伸ばした唸り声を聞いた事がなかった気がします。だからこそ、ゼットの発した「キィーーーーーアアアアアーーー!」という唸り声を聞いた時の心の高鳴りや鳥肌が更に凄いことになったのではないかと思います。

 

最終話にて名実共に二人で一人の存在になってしまったわけですが、一心同体になったのだと感じられる。これまでの2人の歩みと積み重ねを体現した二人の叫びには本当に心を動かされました。

 

メダルいただきます!

 

 

Zを描き出す光線の軌跡で思い出すピカリの国の戦士

 そんな最高の光線は敵の光線を少しずつ押し込んでいく。あともう少し!というところで畳み掛けるかのように起こった事が、光線ペインティング。

 

身体のデザインと同じくらい多種多様でアイコン的存在であるウルトラマンの光線のデザイン。縦一直線や十字、X字、中にはV字状に飛ぶ光線がありますが、それはあくまで光線を正面から見た時のデザイン、つまりは光線の断面が文字等のデザインになっているのですが、Zの光線は一味違かった。光線の軌跡がZになったんです。これまでは技を受け止める覚悟でなければ光線の形を見ることができなかったのに対して、特徴的な光線を横から安全に確認できる親切光線です。

 

光線の鍔迫り合いをした状態のまま、ゼットの動きに合わせて光線が二度折れたと思ったら折れた軌跡がZになり「ゼット!」と言わんばかり光る。そしてそれが光の塊になって一気に敵を吹き飛ばす。

 

この最後の一押しで光線に変化が起こる描写で思い出したのが、ピカリの国の戦士ウルトラマンゼアス。ゼアスもゼットと同様に、光線の鍔迫り合いの末、最後には気合いでX字の特殊光線を繰り出しました。

 

必殺技を打つ前に「コーーー!」って声を出して気合を入れるところや、道着を着て特訓するところなど、こうして考えてみるとウルトラマンゼアスと共通点を多く感じるところも、『ウルトラマンZ』という作品が印象に残っている理由の一つかもしれません。いつか共演して、立派に成長したゼアスの姿を見たいと思っています。(現在YouTubeにて配信中の『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』でゼアスが登場しなかったことにショックを受けたことは、ここだけの話です。)

 

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因みにウルトラマンゼアスが好きになった理由の一つが、光線を左手で撃っていること。左利きの自分にとっては、それが嬉しかった。

 

 

 

遥かに輝く戦士たちの手

 ギリギリまで踏ん張った人間を助ける、遥かに輝く戦士たち。人間の頑張りに応えるかのように、同じようにギリギリまで頑張ってくれる彼らの手から放たれる光、その軌跡には、ウルトラマンと人の想い(気合)が込められていて、視覚情報だけでは得られない気持ちの高まりと感動を与えてくれます。だからこそ『ウルトラマンZ(ゼット)』は最高でした。

 

そして彼らの手の交差から放たれる光の輝き。それが次に与えてくれる感動と興奮はどんな物なのか、これからも楽しみです。

 


映画『シン・ウルトラマン』特報【2021年初夏公開】