「不定期」の名をほしいままにする当ブログも、気が付けば前回の更新から1年が経とうとしています。1年間で一度も更新しないのは「不定期」を超えて「終了」という謗りを免れない。そんな現状への焦り、そして毎年のように更新を増やしたいと言ってる自身への不信感を募らせる2025年12月です。
そんな中で今年もブログクリーンアップ開催の一報を頂く。募る想いを振り払うかの如く参加を決意し、久しぶりにブログを更新しております。レッツ、ブロクリ!
(ブログクリーンアップ21日目の記事です。開催いただきありがとうございます。)
とは決めたものの、どの記事を掲載するか。ブログクリーンアップの趣旨は、「書き上げられなかった下書きを完成させること」。つまりはブログクリーンアップの記事で掲載できるのは下書きフォルダ等に記入途中のと言う制約があるということである。しかし、下書きフォルダに記事が溜まりまくっている私にとって、そうした縛りは無いに等しい。可能性は無限大である (1年近く1つも書き上げなかった奴が何か言っている)。
賞味期限は過ぎてしまったが消費期限が過ぎるのは避けたい。いや、消費期限が近づいている記事は寧ろ上げるタイミングが丁度の記事なのでは?
そう、来年の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』と『楽園追放 心のレゾナンス』の公開が待っています。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は2021年に公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の続編であり、三部作の2作目。アニメーションでありながらまるで洋画実写を観ているような気分になる本作は、唯一無二の魅力を持っています。そのクオリティの高さ故に「早く観たい」という気持ちよりも、「クオリティ優先で、じっくりと作って欲しい」という気持ちが勝る一作。
(カメラのアングルやキャラクターの動きなど、アニメという言葉から想像する映像から一線を画すカットに惚れ惚れ)
そして『楽園追放 心のレゾナンス』は2014年に公開された『楽園追放 -Expelled from Paradise-』の10年ぶりの続編。3DCGでありながら手描きのような質感を有しているアニメーションは、当時台頭してきたセルルック3DCGを牽引していた作品の一つと言っても過言ではありません。
実験作としての側面もあった前作から10年。どれほどまでにセルルック3DCGが進化したのかを実感できる一作として楽しみで仕方ありません。
(『ガールズバンドクライ』や『スパイダーバース』などのヒット作が登場し手描きライクな3DCGが定着してきた中、どんな進化を遂げているのか楽しみで仕方ない。)
という訳で、来年に新作公開が控えている二作品に共通する魅力について書いていこうと思います(この書き出しからして、さては下書きすらなかったなとか言わないでください。頭の中ではずっと考えていたんです。信じてください)。
(以下、映画本編のネタバレがあるのでご注意ください。)
ロボットへのビジュアル・デザインへの好みは千差万別。角ばったラインがいいとか、流線型のラインが好きとか。人型でありながら 手・腕が大きいアンバランスさが好ましい。逆関節のような非人間的なデザインが素晴らしい。と言った具合に。
そして、そうしたデザインや機能、装備が劇中でどんな活躍したのかが、各機体への印象に大きく影響を与える。
今回お話しする二作品における魅力は、デザインや設定単体ではなく、作品の鑑賞を経た上での話。そのデザインを物語・作品のテーマに則って観た時、考えた時、 作品一番として捉えた時、どのような意味を帯びてくるのか。そうした文脈により生まれる魅力・好きの話をしようと思います。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する Ξ(クスィー)ガンダム。ガンダムの名を冠しながら非ガンダムな顔、おおよそ人型としては動きやすいとは言い難い肩・腕・脚。特徴は様々ですが、特筆すべきは胸部。
コックピットハッチとしても機能する胸部は、非ガンダム的な顔に代わるが如くガンダムの顔のようなデザインになっています。黄色いアンテナと赤い二つの突起物は、ガンダムの額と口を連想させる。
劇中でも、その連想を観客に惹起させ錯覚させます。そして錯覚したことを前提とした演出が行われています。終盤になって漸く登場するΞガンダムは、暗闇の中で全貌は把握できません。その中で主人公のハサウェイ・ノアはΞガンダムに語りかけます。兵器としての側面を押し出した演出がされている本作において印象的なシーンですが、本来であれば顔に向かって語りかけそうなところを胸に向かって語りかけています。
そして戦闘シーンに突入し敵機との鍔迫り合いで生じた発光で初めて全貌が明らかになる。その時、顔をすぐに見せるのではなく胸部から頭部の順番で見せていきます。まるで「こっちは顔ではありませんよ」と言っているかのように。

ここで思い出されるのがティザービジュアルのキャッチコピー。「シャアの理想とアムロの情熱 2人の意志を継ぐ者」というハサウェイの在り方を指した内容ですが、Ξガンダムの顔と胸部の錯覚は、それを象徴しています。
アムロが乗っていたν(ニュー)ガンダムは胸部にコックピットが設置されています。対してシャアが乗っていたサザビーは頭部にコックピットが設置されています。加えて、ガンダムは劇中でも「白い悪魔」と呼称されていたように敵味方を問わず象徴的なアイコンとして扱われています。
そうした中で、ガンダムの顔らしくない頭部と、ガンダムの顔らしい胸部のΞガンダム。それを前に胸部に語りかけるハサウェイの姿は、彼の不安定な内面を象徴しています。
地球に惑星を落下させ地球に人が住めないようにしたシャアと、それを防ごうとしたアムロ。
※「防ごうとした」という言い方をしているのは因果関係が不明確なためだが、惑星の落下は防がれた。
相対していた筈の2人の意思を継ぐという言葉に感じる矛盾は、劇中のハサウェイの振る舞いが裏付けていく。 陽動のために都市ダバオへ攻撃を自らが指示していながら、数多くの死者が出ている戦禍の中心で「ああ、そうだ、本当に酷い…」と呟く。
視座を高くし人類のため地球環境のために動く一方で、テロを行い沢山の命を奪っている。 これからテロで殺そうとしている人間の顔を直接見ておこうとする。内面が歪な状態であることは想像に難くないハサウェイ。
#閃光のハサウェイ
— 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ (@gundam_hathaway) 2023年1月29日
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素材紹介:サイン
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宣誓供述書からハサウェイとギギ、ケネスのサインです。ハサウェイのサインは彼の「壊れている」感を出すためにカリグラファーの三戸美奈子さんに練り上げて頂きました。(貼り込み素材も担当:笠岡) pic.twitter.com/MCSSF8E3In
(ハサウェイのサインはいつ見てもゾッとします。)
そんな彼がガンダムの顔のような見た目の胸部に乗り込む。一方で実際の頭部はガンダムらしくはない見た目。彼はガンダムに乗っているつもりで、その実サザビーに乗っている。アムロの理想を継いでるつもりで、シャアの理想を継いでいる。と捉えることもできる。
胸部に顔があるデザインは、個人的に本作のリアリティにそぐわないと感じていたのですが、 彼の内面の解離を表す機体と捉えた時、Ξガンダムのデザインは秀逸だと思いました。
次は 『楽園追放 -Expelled from Paradise-』に登場するニューアーハンです。本作の主人公アンジェラ・バルザックが搭乗する機体で、ずんぐりむっくりな従来機のアーハンと比較した時、スリムで人型に近いフォルムが特徴的です。
物語の終盤、アンジェラは所属していた組織(国、生活圏と言い換えてもいいかもしれない)から離反し、地球から飛び立とうとするAIを助けるため、相対することを決意します。その時に搭乗(奪取)する機体がニューアーハンです。
電脳世界ディーバで暮らすようになり、あらゆる物理的制約、肉体の不自由から解放された一方で、ディーバへ貢献して自らの価値を証明するという均質化された在り方を求められる構造が存在します。
従来機のアーハンは、球体から人型へ、人型から球体へ変形できることから、人型としては歪なシルエットをしています。まるでそれは、均質化された在り方(綺麗な球体)を求められた結果、人としての在り方が歪になっていることを表しているように感じられます。
(それはそれとして、新作のティーザーで球体への変形をアクションに組み込まれてたことに満面の笑み。)
そうした中で、ディーバから離反したアンジェラが搭乗するニューアーハンが、人型に近いフォルムになっています。
人としては歪だった在り方からの矯正と、ディーバからの離反をリンクさせるものであり、そのことの視覚的な表現としたものとして、人型に近づいたニューアーハンのフォルムが捉えられる。純粋な見た目への好みで言えば、歪な人型であるアーハンの方が好きなのですが、物語のカタルシスを作る要素の一つとして、ニューアーハンのデザインの方が軍配が上がります。
こういった物語の積み重ねやテーマが作る文脈が個人の嗜好を凌駕する。映像作品の醍醐味です。
(現時点で新作では見る影もないのが少し嬉しかったりする。もし「離反者の搭乗機」という烙印が押されて凍結されてたら、観賞中に口角が上がってしまうかも…)
新作公開が控える二作品の魅力を話しました。秀逸な物語やテーマ、文脈は自分の好みを凌駕し、 自分の好みから外れたものを新たな好みに塗り替える。そんな魅力を持った作品の続編が公開される2026年が楽しみです。



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