モリオの不定期なblog

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<PSYCHO-PASS(サイコパス)>過去作と新作SS:Case.1の違いから考える、SSへの期待

 『PSYCHO-PASS サイコパス SS』を鑑賞以降、サイコパス熱が再燃してしまった現在。(作品を知らない人が見たら、ヤバイ人だと思われそうな文面。)そこで改めて、現在展開中の『Sinners of the System』(以下SS)と、過去作(テレビシーズ)を比較すると共に『PSYCHO-PASS』の魅力と2・3月に公開が控えている『SS』残り二作に期待しているポイントを考えてみたいと思います。

 

 

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 『SS』と過去作で異なる点は、フォーカスを当てる対象が異なっている事です。

 

テレビシリーズの『1st Season』『2nd Season』では、事件の犯人である槙島聖護と鹿矛囲桐斗それぞれの持つ哲学や生い立ちを描いていました。そして彼らの引き起こす事件を通じて、シビュラシステムの不十分さ、そしてそれらに付随する社会の不条理さを浮き彫りにしました。

 

 

 

対して『SS Case.1』では、特別行政区サンクチュアリ>で発生する事件の被害者である夜坂泉と久々利武弥を中心に描いています。その事件を通じて、理不尽な事態の中で必死に生き抜こうとする一般市民の姿を描きました。

 

 

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 『サイコパス』で描かれているものは「不完全なシステムによる不条理」「そこで生きる人々」です。前者は事件の犯人、後者は事件の被害者と警察官を通じて描かれています。また、テレビシリーズでは前者、『SS Case.1』では後者に重点をおいて描かれています。

 

 

 

 テレビシリーズでは、『PSYCHO-PASS』における最大の特徴であるシビュラシステムが不完全である事を、槙島聖護と鹿矛囲桐斗の起こす事件を通じて描かれていきます。槙島聖護が犯罪を起こしても免罪体質である為、刑事がドミネーターで裁く事ができない。集団をシビュラシステムは判定できなかった為、複数の人間の集合体である鹿矛囲桐斗を同様にドミネーターで裁く事ができなかった。

 

裁くべき人間を裁けず、助けるべき人間を助けられない。シビュラシステムの持つ欠陥部分をテレビシリーズを通じて描かれていました。

 

そして事件に対処する主人公たち公安の刑事が「そこで生きる人々」として描かれています。犯罪係数があるせいで、事件解決に近づく事とは裏腹に自らが潜在犯と見なされてしまうかもしれない危険を常に抱えています。もし潜在犯になってしまえば、普通の人としての自由は無くなってしまう。

 

事件を解決したとしても、自らが潜在犯に認定されてしまったり、警察を離れ社会から姿を消さざるを得なくなってしまう。「不完全なシステム」に対する無力感と虚無感がテレビシリーズでは色濃く現れていると言えます。

 

 

 

 対して『SS Case.1』では、そんな不条理の中でも懸命に生きようとしている被害者の姿が描かれています。潜在犯を洗脳して放射線廃棄物を回収させるという非人道的な行い、そこから逃れようとする潜在犯の子供である久々利武弥と彼を守ろうとする夜坂泉。そして彼らを助ける刑事たち。

 

親も犯罪を犯してない上に、その潜在犯の子供だというだけで危険にさらされてしまう。テレビシリーズとは異なった形でシステムの不条理を突きつけられます。

 

しかしそれ以上に描かれるのが、被害者である久々利武弥と夜坂泉の懸命に生き延びようとする姿と、刑事としての勤めを果たす宜野座伸元と霜月美佳の姿です。身代わりになろうとして八坂は危険な薬を飲みます。また被害者二人を助ける為、事件解決の為に宜野座と霜月は懸命に動きます。

 

テレビシリーズで散々描かれた「システムの不条理」が前提があるからこそ、その中で懸命に生きようとする、誰かを助けようとする人々の姿や強調される。

 

 

 

 『PSYCHO-PASS』の魅力は、まさに前述した「そこで生きる人々」だと思います。テレビシリーズでは、提示されるシステムの不条理に翻弄されながらも事件解決に動く主人公たち刑事の姿に感情移入し、『SS』では、事件の被害にあう立場の人たちが助かろうとする姿に感情移入します。

 

更に『SS Case.1』では、テレビシリーズの登場人物たちの成長した姿がみれる事もテレビシリーズとは異なる点です。不完全なシステムと折り合いをつけて、その上で自らができる事を全力で取り組む、テレビシリーズには無かった魅力が感じられると思います。

 

 

 

 『SS』残り二作に対する期待は、テレビシリーズにて退場してしまった登場人物たちの活躍です。別の時間、別の場所にいる『1st Season』と『2nd Season』の別々のキャラクターたちの活躍がどのように繋がるのか?「そこで生きる人々」が紡ぐ新たな物語はどのようなものになるのか?しっかりと見届けたいと思います。

 

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それとも、テレビシリーズの如く新たな「不完全なシステムの不条理」が描かれるのか非常に楽しみです。

 

 

(追記)2/14

特に、とっつぁんこと、征陸智己の活躍が楽しみです。今度こそ最後の登場だと思うと、今から泣いてしまいそうです。