モリオの不定期なblog

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キャラクターの魅力を見せ、観客の期待に応えた秀作<PSYCHO-PASS サイコパス:SS Case.1・感想・ネタバレ>

 『PSYCHO-PASS』は近未来の日本を舞台に事件に立ち向かう警察を描いたSFクライムサスペンス。人の心理状態を示す犯罪係数を計測するシビュラシステムという特殊な設定により他の作品にはない展開、テーマが描かれる本作は、2012,2014年にテレビ放送、2015年には劇場版公開した人気作です。劇場版から約4年、劇場版3部作として帰ってきました。しかも3ヶ月連続公開で本作のミッシングリングが紐解かれるとの事で楽しみです。という事で早速三部作の内の一作目『Case.1 罪と罰』早速観てきました。

 


『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』 予告編

 

 

 本シリーズで定番のオープニングから始まるだけでなく、テレビシリーズ第一期のオープニングテーマ『abnormalize』をBOOM BOOM SATELLITES中野雅之さんがリミックスした曲が流れるのだから、オープニングから鳥肌が止まりませんでした。オープニングにとどまらず本作は全編に渡り、これまで『サイコパス』を観ていた人の期待に応えてくれた秀作でした。映画としては短い60分という上映時間でしたが内容は非常に満足できるものでした。

 

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(以下、映画本編のネタバレがあるのでご注意ください。)

 

 

 

 

 本作において、まず特筆すべき点は執行官である宜野座さんの活躍。刑事として、後輩である霜月監視官を支える先輩としての活躍を見る事ができたのが感慨深かった。テレビシリーズ第二期と劇場版の時点でも成長した宜野座さんの姿は見られました。今回は宜野座さんにもフィーチャーした内容なのでその姿を十二分に堪能する事ができました。

 

久々利武弥を励ます姿を見せたと思えば、巨大パワードスーツを身につけた男に生身で戦う姿を見せられる。頼もしさを表すパラメーターがあるとすれば、完全にmaxに振り切っているなと思えるほどの活躍でした。テレビシリーズ一期の頃から鑑賞していた身として、本当に感慨深かった。「父親のように刑事として頑張っているな。」と神様視点で見ている一観客としては、彼の活躍の一つ一つが胸を打つものでした。その父親である征陸智己の活躍が次回作のCase.2で見れるとの事で今から非常にワクワクしてます。

 

 

 

 そんな宜野座さんの活躍以上に今回印象に残ったのが、霜月監視官。シビュラシステムに従順かと思いきや、今回の被害者である夜坂泉と久々利武弥の安全を保障するようにシビュラシステムと取引をする。シビュラシステムとは別の彼女自身の信念が垣間見えた事が良かった。これまでは、彼女の言動の一つ一つにイラっとしていましたが、慣れた事もありどこか愛嬌を感じました。彼女の執行官に対する態度を含めた言動は相変わらずなんですけど、雁字搦めになっているシステムの中でも彼女なりの正義を遂行しようとする姿はある種一つの解のように思えました。

 『サイコパス』を鑑賞していて個人的に感じているテーマの一つに「不完全なシステムの中で、どう折り合いをつけるのか。」というものがあります。常守朱のように、システムの中で少しでもよくなるように動く者。狡噛慎也のように、システムから弾かれてしまった者。槙島聖護のように、システムに疑問を投げかけ反旗を翻す者。

 

その点でいえば、霜月監視官のこれまで活躍は常守朱のように働く者達を阻害する立場でした。しかし今回は、被害者の夜坂泉の心情を汲み取ったり安全の為に動くなど、システムの中で折り合いをつけている側面が見られました。これまで低かった彼女自身の株が大幅に上がったと思います。

 

彼女の振る舞いやスタンスを大きく変えずにいたのも評価が高いポイントです。単に良い人に見せるだけでなく、シビュラシステムを信奉するスタンスは変わらない。だから彼女が今回見せてくれた「信念」「正義」がより強調されて見える。被害者の保護を保障される為に自分の立場・立ち位置を利用するなどクレバーな一面も見れました。常守朱とは異なる距離感でシビュラシステムとの関わり方・付き合い方を見る事ができたのは面白かったです。

 

 

 

『Sinners of the System』という共通のタイトルを冠する3部作。時代も場所も異なる中でどのような繋がりを見せてくれるのか、各キャラクターの活躍が非常に楽しみです。