モリオの不定期なblog

映画・特撮・アニメの感想や思った事を書きます。宜しくお願いします。

次回作の公開を待つ時間はリアルタイムだけにしかない「コンテンツ」

 テレビドラマの第一話が放送されてから第二話が放送されるまでの1週間。漫画の第2巻が発売されてから第3巻が発売するまでの4〜6ヶ月間。映画の第3作目が公開されてから第4作目が公開されるまでの2〜3年間。

 

単発ではなくシリーズで展開している作品には、必ず次回作が公開されるまでのインターバルが存在します。その間に公開された作品に対する感想などを考えるだけでなく、1週間後、数ヶ月後、数年後に公開されるであろう次回作の内容を想像する。

 

物語の幕切れの後、登場人物はどうなるのか。次回作では登場人物達を取り巻く状況はどう変化しているのか。物語はどのように続き、一人一人はどんな道を歩んでいくのか。新しい人、新しい物、新しい場所はどんな風を作品に呼び込むのか。再び幕が開いた時、そこにどんな光景が見えるのだろうか。

  

そういった思考の積み重ねを可能とするインターバルって、リアルタイムのみでしか体験できない貴重な「コンテンツ」だなと自分は思っています。

 

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 作品が完結した後、つまり物語を最後まで知った上で考察をする事はいくらでもできます。でもシリーズは完結しておらず、作品の途中まで知っている状態で考察できる期間は限られています。

 

アベンジャーズ エンドゲーム』(以下EG)が公開されて既に半年が経過しました。2008年に公開した『アイアンマン』から2019年のEGまでのインフィニティ・サーガと呼ばれるマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の一編についてを考える事はこれから幾らでもできます。しかし、1年前に『アベンジャーズ インフィニティーウォー』(以下IW)が公開してからEGが公開されるまでは、たった1年間しかありません。

 

IWの結末を経て、EGではどのような物語、結末が描かれるか。世界はどうなってしまうのか、消えてしまったヒーローはどうなるのか、残されたヒーロー達はどうするのか。

 

先の展開が未知数だからこそ尽きることのない考察、それに伴う不安や期待感などの入り混じった感覚。EGが公開されてしまった今、それを味わう事は二度とできません。

 

今から見始めたとしても、IWを観終えた後に直ぐにEGを観ることのできる環境が整っている以上、そういった体験をする事は難しい。だからこそ、リアルタイムで作品を体験する事に価値があります。

 

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 様々な展開を予想したり、想像する。その予想や想像の積み重ねがあるからこそ、作品に、そしてなにより作品の中に登場するキャラクター達に対して愛着が湧くのではないかと思うのです。

 

前作から数年が経過する事はよくある事で、中には1作品の中だけで鑑賞している時間とは比較にならないくらい長い時間が経過する事があります。キャラクター達と作品を観賞する私たちの間に生じる時間のギャップ。それを埋めてくれる物こそが、次回作が公開されるまでの間に行う展開の予想や想像の積み重ねなのではないか。

 

 

 

 いわゆる一気見という物はあまり好きではありません。NETFLIXなどの配信サービスにおいてオリジナル作品は最終話まで一気に配信されますが、自分にとっては前述した積み重ねの過程をすっ飛ばしてしまっているかのように感じてしまいます。食事で例えるなら、口に入れた瞬間に水などで流し込んでしまっているかのようです。十分に咀嚼せずに飲み込んでしまうのは、味を十分に楽しんでいるといえるのか。勿体無い楽しみ方をしてしまっているのではないか。そう思ってしまうのです。

 

 

 

 中には、公式の発表によってその楽しさが損なわれてしまうパターンもあります。例えば、現在放送中の『PSYCHO-PASS サイコパス3』です。本作は『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズの劇場版新3部作の最終作『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3』が公開された初日に制作の発表がされました。私はその発表に喜ぶどころか、寧ろ冷や水を浴びせられたかのような気持ちになりました。

 

www.cinematoday.jp

 

ポイントは、情報が公開された事自体ではなく想像する余地が不意に狭められてしまった事です。

 

最も主人公の今後の動向に注目していたタイミングで次回作のサプライズ発表。しかも主人公は全く知らないキャラクター。

 

仮に続編があったとしても、しばらくは無限大だと思われた想像の幅。それが公開初日にして一気に狭まれる。

 

考える余地・範囲が分かっている場合は良いんです。予め範囲が分かっていれば、その中で存分に遊ぶ方法を考える。例えば前述したMCUは、数年先の作品を一気に予告します。なので想像する余地が不意に狭められてしまう事はありません。

 

遊んでもいいと思っていたエリアが急に限られてしまうと、萎えてしまう。初めから遊べないと分かっていた場合と遊べると思っていた場所が遊べないと後から分かった場合では、後者の方がショックは大きいんです。

 

 

 

 NETFLIXなど様々な配信サービスが独自のコンテンツを制作し一挙配信するようになった今、もしかしたら自分の持つ価値観は時代に逆行したものかもしれません。

 

でも、映画や漫画やテレビドラマ、アニメを観賞したり読んだら、それで終わりじゃない。その作品で受け取ったものを考えたり、次の展開がどうなるのか想像する事も含めて、作品を楽しむ事だと思っています。

 

その中で、シリーズが展開している「途中」にできる楽しみ方って「完結後」には絶対にできない。だからこそ「次回作が公開されるまで待つ時間」って貴重な「コンテンツ」だなと思っていますし、作品を観賞している瞬間と同じくらい大事に味わっていきたい。