モリオの不定期なblog

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映画全体では乗り切れないが、高い映像技術で作られたアリータに魅了されるという不思議な体験<アリータ・感想・ネタバレ>

 近年、『ゴジラ』や『パシフィック・リム』、『ポケモン』などを始め映画界における日本のコンテンツへの視線の集まりを感じています。そんな中、『アリータ』の存在を知りました。何年か前に、制作を行っているニュースを目にした事は覚えていて「遂に完成したのか。というか作っていたのか。」と不思議な感じを受けました。主人公の目の大きさには驚きを感じると同時に、『パシフィック・リム』とは異なる形での日本のサブカルリスペクトを感じました。また、ジェームズキャメロンも関わっているという事で、2009年公開の『アバター』の映像を当時観まくった身として、見に行かないわけにはいきません。という訳で、少し遅くなりましたが鑑賞してきました。

 

Alita: Battle Angel - The Art and Making of the Movie (Alita Battle Angel Film Tie in)

 

 

 

 基本的にはツイッターで述べた通りです。

 

 

映画において、CG等の合成技術が上がるところまで上がりきった印象があります。(もちろん、これは素人目線で実際はまだ発展の余地はあると思いますが。)限られた予算や期間の中でどれほどのクオリティの映像が作れるか?というのが一つのポイントであるように思われます。

 

中でもMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)では、複数の作品が同時並行で制作されスケジュール優先で制作されています。その為か、CG等の合成に多少の違和感を感じる場面が見るれる事があります。『シビルウォー」では、アイアンマンことトニースタークがキャプテン・アメリカことスティーブロジャーズを空港で説得する場面でアイアンマンスーツに対し演じているロバートダウニーJrの顔が浮いてしまっているように感じました。『ブラックパンサー』では、山場となる終盤の戦いにおいてCGぽさを強く感じてしまいました。

 

MCUを通じてスケジュール優先の制作の利点を感じる一方で、映像のクオリティは高いとは言えないと思っています。

 

そんなスケジュール優先の制作とは対極にあるのと感じているのが、ジェームズキャメロンさんです。2009年公開『アバター』でも、当時では見た事のない映像を作り出しました。

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本作では監督という立場ではありませんが、多かれ少なかれクオリティ面に対する影響はあると思います。

 

アリータを始めとするCGで描かれたキャラクターたちや街は、完成度が非常に高く違和感がありませんでした。SFやファンタジーなど、CGを利用される作品が近年増えて観客の目が肥えてきた中、数多く公開されている作品の中でも、合成の完成度は高かったと思われます。

 

特に主人公であるアリータは、初めこそ目の大きさに多少の違和感を感じつつも、合成自体の質が高い事で物語が進むのに並行して、その違和感は解消されていきます。寧ろ目が大きいおかげで、彼女の心情がよりダイレクトに感じられました。それが彼女を魅力的に映し本編が終わる頃には、アリータというキャラクターの虜になっていました。

 

アリータ:バトル・エンジェル(オリジナル・サウンドトラック)

 

 

 

 高いクオリティの映像を楽しめた一方で、物語は盛り上がりどころが分からず、イマイチに没入することができませんでした。小さな盛り上がりがいくつか配置されてる印象で、その場面が映画全体において中盤なのか、終盤に差し掛かったのかが体感として理解できなかった。その為、気づいたらエンディングを迎えていたというのが本音です。

 

これは漫画を映画にする際に有る課題の一つとして、「短く分けられている物語を一つの映画にする。」事が挙げられます。本作ではアリータの見た目を初めとして、原作に対して強いリスペクトを感じられます。原作を見てみない事には分かりませんが、ストーリー面でも原作から大きくいじらなかったのではないかと考えられます。本作のラストも漫画における第1章完といった印象を受けるものでした。その結果として本作は、映画として没入しにくい作品になったのではないかと思います。

 

 

 

 物語は、30分のアニメの最初の3話分をそのまま繋げて一つの映画にした印象で盛り上がりに欠けていました。しかし前述した通り、近年のスケジュール優先の制作の大作とは異なり、クオリティの高い映像を見る事ができる点においては一見の価値ありです。映画全体では没入する事はできませんでしたが、ハイクオリティな映像で見せられるアリータには魅了され感情移入できるという、非常に不思議な体験でした。