モリオの不定期なblog

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「位置について、よーい………ドーーーン!!!」徒競走みたいなアクション、王道な作りを極めた傑作<アクアマン・感想・ネタバレ>

 正直な事を言わせていただくと、単純にデザインがあまり好みではないという理由で最初はあまり楽しみにはしてなかったんですよね。「まあ、公開終了までに観に行けば良いか。」くらいに思ってたんですけど、いざ公開が始まってみると物凄い評判、急遽観に行く事にしました。

 

鑑賞した結果、徒競走のようなアクションシーンを約2時間楽しみました。

 

The Art and Making of Aquaman

 

 

 

 まずは、物語の物語の分かりやすくて観やすかったです。主人公アーサーたちが防がなくてはいけない問題、問題を解決するために達成しなくてはいけない課題が明確。

戦争を防ぐ為に王座を勝ち取らなくてはいけない、その為に必要な武器を手に入れる。

非常にシンプルである為、観客である私たちは繰り広げられる戦闘シーンに集中できます。

 

 

 

 そして観客が集中する戦闘シーンもまた、非常に見やすくなっています。序盤の母親の戦闘シーンに始まり、潜水艦内と決闘、海と陸と二度展開されるチェイスシーンのどれもが、主人公たちと敵の位置関係が明確でした。混乱するシーンは一度たりとも無かった事は衝撃的です。特に水中のシーンは基本暗くて見づらくなりそうなはずなのに、混乱しません。『ヴェノム』でも思った事ですが、暗さなどによる見辛さはカメラワークなどの演出次第でどうとでものだなと思いました。

 

以前、見辛さについて書きました。

 

mori2-motoa.hatenablog.com

 

内容を端的に述べると、「映像の見辛さが観客にとって臨場感を感じさせているのではないか?」という事です。水中であったり暗かったりなど、観客にとって見辛くする要素を持ちながらも、カメラワークを含めた見せ方を工夫により見易さを実現した場合どうなるのか?

 

身体が動きそうになるんですね。思わず少し傾いたり、ビクッとなったりするんです。これ程映像に対して身体が反応してしまう体験はなかなかありません。

 

 

 

 その臨場感の塊のようなアクションシーンを実現しているのが、徒競走のようなアクションシーン

 

まず「位置について、よーい……」が、戦闘が始まる前の舞台となる場所の説明です。アーサーたちがアクションをスタートする場所に向かうまでの過程でアクションする場所を映像でしっかりと見せてくれるんですね。それがある事で、位置関係の把握、ひいては戦闘シーンの見易くなっているのではないかと思います。

 

例えば、決闘を終えて逃げる時のシーン。様々な建造物の間をぬって逃げるわけですが、通る場所や建造物を予め見せているんですよね。くるくる回っている建造物やゴールとなる門、ランドマークとなる物をあらかじ観客に認識させている事で、水中でありながらも見易さを損なっていなかったのではないかと思います。

 

 

 

 次の「ドン!」が戦いのスタートなんですけど、実際に「ドーーーン!!!」となるから驚き。ピストルが鳴るなんていう可愛いものではなく、本当に爆発するんです。序盤の母親が家で戦闘する時やイタリアでアーサーがブラックマンタと戦闘する時、スタートの合図と言わんばかりに爆発。しかも徒競走のように、爆発する前に少し静かになるという溜めもあります。劇中で3回か4回くらいあったので、イタリアの時はおもわず笑みが溢れてしまいました。アーサーとメラが二人とも爆発で吹き飛ばされたのに。

 

しかし、序盤から爆発で戦闘スタートを何度か行う為、観客は刷り込まれるというか3回目4回目になると楽しくなってくるんですよね。徒競走の如く、休みの時間と戦闘の時間がはっきりしているので観客としても楽しむ時に全力で楽しむことができるんですね。

 

 

 

 以上の事が、臨場感の塊のようなアクションシーンを実現しているのだと思いました。

 

 

 

 本作は極めて王道な作劇でありながらも映像による語りを極めた結果、非常に高いレベルで漫画原作のビジュアルに説得力を持たせる事に成功しています。ある程度リアリティを持たせる事でビジュアルや物語に説得力を持たせているマーベル・シネマティック・ユニバースとは異なる方向性の漫画作品の映像化として非常に魅力と可能性を感じました。 DCエクステンデッド・ユニバースの今後が楽しみです。