モリオの不定期なblog

映画・特撮・アニメの感想や思った事を書きます。宜しくお願いします。

<ヴァイオレット・エヴァーガーデン/プレ観想>

 最後に手紙を書いたのはいつだろうか。誰に対して、何の内容を書いたのかは思い出せません。連絡する手段が手紙からメールやSNSに変わった現在。手紙という媒体を思い出させてくれた作品が『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。テレビで放送されたのは、2018年。戦地に身を置いていた少女ヴァイオレットが、様々な人の手紙の代筆を通じて「愛している」という言葉の意味を知っていく物語です。

 

今では手軽にメッセージを送ることができる中で、この作品で一つ一つとても大切に言葉を紡いでいく登場人物たちの様子が懐かしくも新鮮に映りました。そしてなにより、手紙に託される想い、繋ぐ気持ち、受け取る想いにひどく胸を打たれたのを覚えています。

 

そんな『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が遂に完結を迎えます。12話(+1話)のテレビシリーズと外伝を経て、劇場版の公開です。物語の完結を目撃する前に、作品に感じる魅力、劇場版に対する期待を書いておきたいと思います。

 

 

 

 物語の構成は、ヴァイオレットが「愛してる」の意味を知っていく物語を縦軸に、横軸となる代筆を依頼する人たちの物語が展開されていきます。

 

代筆をするヴァイオレットが、時に依頼人のうちに秘める思いを引き出し、依頼人たちの人生を前に進めていく。そして同時に、そんな依頼人たちの思いを代筆を通じて感じ取ることで、ヴァイオレットもまた「愛してる」という意味を知っていく。

 

そんなヴァイオレットと依頼人たちの互いに作用しあう関係こそが本作の魅力です。ヴァイオレットが手紙を代筆することで生まれる依頼人の感情の放流が、ヴァイオレットの感情も動かしていく。そんな感情の連鎖が、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という作品全体の感動を二重にも三重にも深くしてくれる。

 

自分の最も好きなエピソードはテレビシリーズ第10話です。そのエピソードでは、病を抱えた母親とその娘が登場します。親はもう直ぐ亡くなってしまう。一緒にいられる時間、してあげられる事が限られている中で、母親は誰かに手紙を送ります。

 

送る相手、送る手紙の内容以上に心を打たれたのは手紙の送り方です。自分の気持ちを手紙の内容自体だけではなく、手紙を送る方法にも込められている。そこに愛を感じるからこそ、涙を誘う。

 

そして、そこで出てくるのが主人公のヴァイオレットです。その手紙を代筆し託されたヴァイオレットは、そこから何かを感じて涙を流します。

 

代筆という形で依頼人を手助けしてきたヴァイオレットが、心や想いといった形にできないものを感じ取り、涙する。そんな彼女の変化にもまた、胸を打たれる。そんな感情の連鎖とも言える現象こそが、本作をこれ程までに心に残る作品にしている所以だと思っています

 

VIOLET EVERGARDEN: Automemories

 

 

 

 そして劇場版。これまで様々な人の思いを代筆をしてきた主人公ヴァイオレットが、遂に自分の想いを言葉にします。

 

これまでの物語を経て、彼女がどんな言葉で、どんな風に想いを伝えるのか。そして、その思いを伝えることはできるのか。どんな結末になるのか楽しみで仕方ないし、見届けたいと思います。