モリオの不定期なblog

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「トラスフォーマーらしさ」を起点としたデザインと戦闘を楽しめる秀作<バンブルビー・感想>

 今では新作が公開される度に映画館へ足を運んでいる作品『トランスフォーマー』。一作目が公開された当時、家族で映画館に観に行った事を今でも覚えています。アニメで観ていた変形シーンが実写になると、こんな風に格好良くなるのかという感動した体験は非常に強烈でした。そんな体験を求めて、後に続いて公開された数々の続編を全て映画館で鑑賞してきましたが、作品を重ねるごとに存在感が薄れていく変形シーン、それに反比例する形で存在感が増していく爆発シーンとスローモション、満足感以上に「満腹感」を感じていました。

 

 作品に対して観た人が持つ「〜らしさ」は千差万別。意識的もしくは無意識的に取捨選択して感じる作品の特徴、そしてそこから導き出される「〜らしさ」は人によって異なります。特にトランスフォーマーの様に長く続いているコンテンツでは、そもそも鑑賞した作品が世代間で大きく異なるし、またコンテンツに初めて触れるタイミングの違いによって作品を観る順番も異なるため、各々が感じている「〜らしさ」は全く異なるのではないかと考えられます。

 

新作が公開される時、ある程度確立された「〜らしさ」に応えてくれるという事は、作品に対する評価に大きく影響します。これまでの『トランスフォーマー』においては、新作が公開されるたびに作品に対して思っている「〜らしさ」から離れていってしまっているように感じていました。

 

作品に対する愛想が尽きかけていた中、トランスフォーマーシリーズの最新作として本作『バンブルビー』が公開されました。バンブルビーを主人公に据えたという事だけでなく、監督がトラヴィス・ナイトと、漸くマイケル・ベイとは別の方が監督を担当されるという事で、これまでのトランスフォーマーとは違う表現が観れるのではないか、という期待がありました。そんな藁にもすがる思いで鑑賞した本作『バンブルビー』は、私の思う「トランスフォーマーらしさ」に存分に応え、非常に大きな「満足感」を与えてくれた秀作でした。

  

バンブルビー (オリジナル・サウンドトラック) 

 

 

 

(以下、映画本編のネタバレがあるのでご注意ください。)

 

 

 

 

 

 私の思う「トランスフォーマーらしさ」というと、トランスフォームという機能を組み込んだ事によって生まれる「アンバランスな体型」「バリエーションに富んだアクション」の2点。

 

デザイン面における「トランスフォーマーらしさ」、これは車や飛行機などから人型に変形した事により生じる体形のアンバランスさです。人型の体を構成するパーツは同時に乗り物を構成するパーツとしても機能しています。一つのパーツで二つ、個体によっては三つのパターンの身体を形作っている事で、トランスフォーマーにおいては人型にしては腕が長かったり胴が細かったり、左右非対称であったり、足がタイヤであったりなど、通常考えられる人型から逸脱している事がトランスフォーマーの特徴であり魅力であると思います。

 

ヘッドライトやタイヤなど私たちが普段見慣れている乗り物のパーツが体の所々に配されている事で、乗り物から変形した事の説得力が増します。加えて本作では体のサイズを小さくした事で、全身に対するパーツのサイズが大きくなりました。これまでの作品以上にトランスフォーマーならではのロボットのデザインになっていると言えます。

 

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他にも、身体に内蔵されている武器も、トランスフォームに対する説得力を高めています。バンブルビーの腕に内蔵されているカッターナイフのようなブレードは短くなっており腕に内蔵されていても違和感の無い物になっています。これまでの作品、特に三作目で顕著に感じた事は、おおよそスペースに収まるとは思えない大きさの武器を取り出していた事です。

 

しかし本作では、バンブルビーのように身体に内蔵する武器は小さく、オプティマスのように手に持っている武器は大きくするという差別化が図られていていた事は非常に好印象でした。

 

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 「トランスフォーマーらしさ」を感じさせられたのはデザイン面だけではありません。トランスフォームをロジックに取り入れた戦闘シーンも非常に印象的でした。それを最も味わえた戦闘シーンが、バンブルビーvsドロップキックです。ドロップキックに投げ飛ばされたバンブルビーが受け身を取るかのように車に変形し、車状態で得た勢いのままバンブルビーがドロップキックにパンチを食らわせる。他にも、相手と距離を取る際に車、ヘリコプターに変形しており、人型と乗物を使い分けている事が非常に良かった。

 

極め付けは変形した事でチェーンが全身に絡まって相手の身動きが取れなくなった事です。劣勢になったドロップキックが距離を取り上空からヘリ形態で攻撃を仕掛けている時、バンブルビーがチェーンを投げてプロペラ部分にひっかけました。そのまま落ちるだけだったら、心の中でガッツポーズ程度で済んでいたと思います。

 

しかし更に私を驚かせたのはその後。慌ててドロップキックが人型に変形すると、プロペラに引っかかっていたチェーンが変形するドロップキックの身体に絡まっていきました。身動きの取れなくなったドロップキックの様子を見て、私は思わず膝を打ちました。トランスフォーマーの能力が戦闘面で仇になる。ただ戦闘に組み込むのではなく、決着のロジックとなる、これこそトランスフォーマーで観たかった戦闘シーンだと思いました。

 

 

そういったロジックがバンブルビーの機転のきいた戦闘を映しだし、体格の大きいトランスフォーマーを倒す事へ説得力を与える。前述したチェーンだったり、敵の腕に内蔵されているミサイルを敵の胸にねじ込んだり、一瞬の機転で敵を倒す一手を作り出す本作の戦闘は非常に良かったです。

 

 

 

 また、人と異星人の交流物語としても非常に良かった。こういった題材において、「異星人との交流を経て、どのような成長をしたか?もしくは前に進んだか?」という事が非常に大事だと思います。本作において、主人公チャーリーの父親が死んでしまった事から前に進むことができず、やっていた飛び込みもできずにいた。そこを描いていた事が良い。彼女が前に進めないでいる状態を「飛び込み」に落とし込む事で、彼女の成長、前進が視覚的に理解できる土台を作り上げた。だからこそ、ラストの飛び込むチャーリーの姿を見て、目頭が熱くなる。

 

映画ポスター バンブルビー BUMBLEBEE US版 hi2 [並行輸入品]

 

 

 

 本作は総じて、「トランスフォーマーらしさ」を存分に楽しむ事が出来る作品でした。続編に対する期待を再び持ち、公開が楽しみにさせてくれた本作は、私の心に残る一作になりました。