モリオの不定期なblog

映画・特撮・アニメの感想や思った事を書きます。宜しくお願いします。

「媚びるって大事」2つの映画を鑑賞して思った事。

 

 ツイッターやブログを含め様々な事を経験して、映画鑑賞時の視点が変化しているのを最近感じています。そんな中で思うようになった事は、「媚びるって大事だな。」という事。「媚びる」という言葉を聞くと、なんだかマイナスなイメージを前までは抱いていました。試しに調べてみると色々書いてありましたが、要は「相手に気に入れられる為にご機嫌をとる」と言う意味です。

 

 

 

 何をキッカケにそんな事を考えたのかと言うと、アニメーション映画『GODZILLA』です。本作の結末をはじめとするストーリーが今では本当に気に入っています。物理的にではなく精神的な意味で人類がゴジラに敗北する瞬間を描いた事、人類の積み重ねのツケを個人の死という形で払わされる瞬間を描いた事、初代ゴジラの持つテーマをより直接的に描いているように感じられました。

 

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 しかしだからこそ、非常に惜しい作品だったと思います。本作のラストにたどり着くまでに興味が持続せず1章や2章の時点で鑑賞をやめてしまった人は多いのではないでしょうか。もっとファンに媚びても良かったのではないか、そんな事を今でも考えてしまいます。

 

具体的に述べると、怪獣映画的魅力の少なさです。本3部作を制作するにあたり「怪獣プロレスは無し。」という方針が東宝からあったそうですが、肉弾戦をしないのであれば光線の弾幕合戦など、別の映像的魅力を見せて欲しかった。

 

一方的にゴジラが攻撃するのではなく、ギドラも引力光線で応戦し弾幕合戦にする余地はあったと思います。他にもメカゴジラシティだけではなくメカゴジラも登場させるなど、既存のファンが喜ぶ作りでも良かったのではないかと思います。

 

新規ファンの開拓は、既存のファンが盛り上がる要素を減らすこととはイコールではないと思います。既存のファンにより作品が盛り上がる事で今までの作品を観た事がなかった人も観るのではないかと思います。

 

 

 怪獣映画的魅力を充実させる事で映画に対する観客の求心力を高め、本作の描きたかったテーマに観客の目が向くのではないかと思います。まあ、個人的にもっと戦闘シーンが観たかったと思っているという事もあるのですが、やはり戦闘シーンを充実させて映画自体への関心を高める事で描かれているテーマも観客にもっと伝わったのではないかと思います。

 

 

 

 それとは正反対だと感じている映画が『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』です。主人公の鹿野靖明を演じているのは俳優の大泉洋さん。筋ジストロフィーを患っている鹿野がボランティアに対して様々な我が儘をします。

 

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しかし、それに対して驚くほど不快に感じません。本作におけるポイントは、我が儘をする鹿野を見る観客に不快感を感じさせない事です。それが失敗してしまえば、鹿野の人生観、哲学、それら全てが観客には響かなくなってしまいます。

 

本作はこの部分に非常に気を付けて制作している事が伺えます。例えば、本作のタイトルになっているバナナを買ってこさせる場面。この場面では、コミカルなBGMや三浦春馬のリアクション(ここは必見、いや必聴かな?)などで、とにかく観客に不快感を感じさせないよう工夫がされている事が感じられます。

 

また、演じている大泉洋さんの持つイメージも大きな要因であると考えられます。バラエティ番組等で積み上げてきた大泉洋さんのイメージが鹿野の我が儘を嫌味なく見せる事を更に後押しする。

 

そうする事で、観客は物語の中で描かれる鹿野の持つ人生観や哲学をすんなり受け止められる。要は、本作で描きたいテーマを観客が受け止めやすいキャラクター、作品になっていると思います。

 

 

 

 

 私が感じた2作の違いは、「描こうとしているテーマや話の受け止めやすさ」です。受け止めやすさを高くするのは、映像や物語に対する満足度です。その点『GODZILLA』は非常に受け止めにくかったです。戦闘シーンに対する満足度が低い事で、描こうとしている物語やテーマが初めは分かりませんでした。対して『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は本当に受け入れやすかったです。

 

 

 

 これは映画に限らず、実生活でも言える事だと思います。例えばツイッターでの炎上を見ている時、たまに炎上して批判を浴びている人の言う事も一理あると思う事があります。語気が強かったり人の反感を買う言い方のせいで、その部分にばかり注目が集まり伝えようとしている事が伝わらない。

 

 

 本当に勿体ないと思います。言い方にさえ気をつければ、伝えようとしている事を相手にちゃんと受け止めてもらえる。相手に自分の考えや思いを伝える時、相手に受け止めてもらう為にご機嫌を取る事は大事だなと思います。そういう意味では、媚びる事は悪い事ではなく寧ろ大事だと思います。

 

 

 

 まあ色々言いましたし媚びるなんて言い方してしまいましたが、要は相手に「話を聞こう。」と思わせる為の土台づくりって大事でその手段として媚びるのも大事だなと思っています。なんだか当たり前の事を言っている気もしますが、個人のブログですし自戒も込めて書きました。いつも以上に拙い文章でしたが、最後まで読んでくださり有り難うございました。