モリオの不定期なblog

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人生初のドラゴンボール、戦闘シーンを100%楽しむ為の舞台設定が見事な一作<ドラゴンボール超:ブロリー・感想>

 

 普段、漫画を読まない人でも一度くらいは名前を聞いた事はあるだろう、と思うくらい有名な漫画「ドラゴンボール」。私も一度も読んだ事はありませんが名前は当然聞いた事はあります。知っている事は、

 

  1. 金色になると強い。
  2. 赤色はもっとも強い。
  3. 青色はもっともっと強い。

 

この程度です。そんな私が「戦闘シーンが凄い。」という評判を耳にし一大決心(大袈裟)。長く続いている作品をシリーズ未見の私が楽しむ事が出来るのかという不安を胸に『ドラゴンボール超(スーパー):ブロリー』を鑑賞。

 

劇場版『ドラゴンボール超 ブロリー』オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

 蓋を開けてみると、想像を遥かに超える映像のパワーに圧倒されました。体感だとは8割以上が戦闘シーンでしたが、映画としてバランスが悪いとは一切思わない。それどころか、戦闘シーンに興奮しっぱなしで本当に楽しかったです。戦闘シーンは評判通り素晴らしい出来でしたが、こんなバランスの映画が楽しめた事に驚きも感じていました。

 

 

 

 各キャラクターの生い立ち、人生、それら全てが、戦いの「切っ掛け」としての機能しかありません。戦いの「理由」ではなく「切っ掛け」と言った訳は、一旦戦いが始まってしまえば各々のバックグラウンドは殆ど語られないからです。戦いの最中、キャラクターのバックグラウンドに極力触れない事で、戦闘シーンを存分に楽しむ事が出来る構成になっています。

 

悟空とベジータサイヤ人である事を含めた自らの生い立ちに由来する信念や目的を戦いには持ち込みません。では代わりに何を持ち込むのかというと、戦いを楽しむ気持ちです。

 

私は最初、戸惑っていました。冒頭、星が滅んでしまう程の自体が発生するだけでなく親が死ぬというショッキングな瞬間までもが描かれている。しかし悟空達からは悲愴感や危機感を全く感じないどころか、戦いをスポーツのように楽しんでいます。

 

 

 

 しかし、それこそがドラゴンボールを私が心底楽しむ事ができた要因なのではないかと思います。悟空があっけらかんとしていてキャラクター達に悲愴感が無いから、どれだけ山を吹っ飛ばし氷を割り地面を割りマグマを出し氷を全て溶かしても観客は気にしない。だからスケールの大きな戦いが全て、観客にとっての爽快感に繋がってくる。

 

 

 

 戦闘シーンで思い出した作品が『マンオブスティール』です。この映画では本作と似た戦闘シーンが展開されますが、楽しめませんでした。寧ろ戦闘シーンが激しくなれば激しくなる程、悲愴感が増すばかりでした。2つの作品の戦闘シーンにこれほどの差がある理由は、前述した点にあります。

 

『マンオブスティール』では、周りの人達への被害が気になって仕方がありません。相手を吹っ飛ばして周りの物を壊す絵面自体は迫力があっても、そこに巻き込まれる人の存在が気になり戦闘シーン自体の爽快感が阻害されてしまいます。

 

対して本作は、周りの人達の事どころか、自らの生い立ちさえも気にするそぶりを見せない。ベジータは自身に怒りを向けられても「関係ない。」と一蹴し、その後はその事について一切触れません。今回の敵であるブロリーでさえも、全ての戦闘が終了すると初めから因縁がなかったかのように振舞っています。

 

登場するキャラクター達が気にしない以上、観客も気にしようがありません。結果として、良い意味で戦闘シーンに注目するしかなくなります。

 

そして戦闘シーンが、とてつもなく高いクオリティで見せつけられるのだから楽しくない訳がありません。作画でもCGでも、圧倒的なクオリティの戦闘シーンで魅せられる。「作画であろうが、CGであろうが、最高のクオリティで魅せる。」という製作陣の貪欲なまでの熱意を感じました。

 

 

 

 戦闘シーンに集中する為の工夫は他にも。例えば、ブルマの横にウイスがいる事、戦いが激しくなると船が避難する描写を見せている事。それによって「周りの人が巻き込まれてしまうのでは?」という観客の心配を解消し戦闘シーンを楽しむ事が阻害されないよう配慮されています。

 

スケールの大きく格好良い戦闘の全てを観客が100%受け止める事が出来る。つまり「周りのことを気にしなくても大丈夫と思える舞台設定」こそが、ドラゴンボール最大の魅力の一つなのではないかと本作を見て感じました。

 

 

   「ギャリック砲!」

   「かめはめ……!」

 

   「はぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

 

この時には、もう完全に心を鷲掴みにされていました。個人的には、作中最後のかめはめ波よりも興奮しました。

 

 

 

 本作は、戦闘シーンのクオリティが高いだけでなく、戦闘シーンに集中できる舞台設定が見事でした。戦闘シーンしか見る所がないのではなく、戦闘シーンを純度100%で楽しむ為に全ての要素が配置されています。とても面白い映画でした。

 

 

 

 新年早々、素晴らしい映画体験でした。

しかし、どうしてくれるドラゴンボール。同じ日に先に見た映画の感想が、劇中の山の如く吹っ飛ばされてしまったではありませんか。ああ、ドラゴンボールを7つ揃えて「鑑賞前に戻る。」とお願いしたいです。